原文

7/27
前へ
/101ページ
次へ
職場に一歩足を踏み入れた瞬間から頭の中はパニック状態、まともに数を数えることも書類を読むことすらも出来なくなってしまったのだ。 家に帰って落ち着いて読めば『小学生にでもわかるような文章』に見えるのだが、緊張状態の職場ではいくら文字を目で追っても内容がまったく頭に入ってこない。 日付印の押し間違いや数の間違いなどを訂正したはずが、訂正した方も間違っていたり、そのうちに書き直す隙間すらなくなってしまうのだった。 「こんな簡単なこともまともにできない…」 常に責められているような気がして顔を上げることも出来ず、休日に遊ぶこともできなかった。 「仕事もできない自分が楽しんだりしていいのか」と。 自分で自分を許せなくなっていた。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

793人が本棚に入れています
本棚に追加