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「しっかり鎖に掴まってないと振り落とされちゃうよ~♪」
志木が笑いながらそう言うのに加奈子は素直に従い鎖をギュッと振り落とされないように握る。
ブランコが前へ後ろへ移動するたびに顔に当たる風が気持ちいい。
いつしか加奈子は大きな笑い声をあげながら初めて経験するブランコに夢中になっていた。
しばらくブランコで遊んでいた二人は次にジャングルジムへとやってきた。
直径十センチ程の鉄棒が縦横に組み合わさってできているその遊具に、加奈子は大きく口を開いて見上げる。
「これはどうやって遊ぶの?」
加奈子の問いに志木はヘラッと笑いながら鉄棒に器用に掴まりながらジャングルジムのてっぺんまで登っていく。
「今みたいに上手に上まで上がってきてごらん♪ いい景色だよぉ~」
加奈子は志木の見よう見まねでジャングルジムを登っていく。
と、スルリと手が滑り加奈子の体が中に放り出される。
(落ちる……っ!!)
加奈子は体に受ける衝撃を想像して目をギュッと閉じる。
が、加奈子の体に衝撃は来ることなく、逆にふわりと宙に浮いているような感覚になる。
「……?」
あれ?っと思った加奈子は閉じていた目をそっと開ける。
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