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「危ねーな、しっかり掴まっとけよ?」
目の前には叶の顔。
落ちそうになった加奈子を抱きとめてくれたらしい。
「ご、ごめんなさい……」
相も変わらずつまんなそうな顔でそう言う叶に加奈子は小さくなって謝る。
そんな加奈子に叶は小さく息を吐き出すと、気にするな、と言うように頭をくしゃりと撫でる。
そして叶は視線を上にあげる。
それにつられて加奈子も視線を上にあげる。
そこには落ちそうになった加奈子を助けようとして逆に自分が落ちそうになっている志木の姿があった。
「お前、何してんの?」
「何、って……、見て分かんない?」
「無様に落ちそうになってるな」
「叶くん、その一言ヒドイ……」
オーバーに泣き真似をしている志木を無視して叶は加奈子をジャングルジムのてっぺんにのせてやる。
そして再び元いたベンチへと歩いて行ってしまう。
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