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加奈子はベンチへと戻っていく叶の後ろ姿をボーッと見つめる。
その横で志木がようやく体勢を戻して加奈子の頭にポンッと手を置く。
それに反応して加奈子は志木の顔を見上げる。
「大丈夫だった?」
にんまりと笑う志木に加奈子は安心感を覚え、こくりと頷く。
それによかった、と言いながら志木は加奈子の頭を撫でる。
「見てごらん、目線が変わってちょっといい景色じゃない?」
志木は視線を前方へと向けて加奈子にそう言う。
加奈子も同じように前方へと視線を向ける。
自分の部屋か車の中からしか見えなかった街の風景が、ジャングルジムの上から眺めるとまた違ったものに見えて加奈子はその新鮮さに歓声を上げる。
そんな加奈子を志木は満足そうに見つめる。
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