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春のポカポカ陽気の中、赤く染めた短い髪をツンツンと立たせた一人の青年が鼻歌を歌いながら軽やかな足取りで公園の中を歩いている。
しばらく行くと青年は目当ての人物の少し長い髪を茶色く染めた頭を見つけ、満面に馬鹿みたいな笑顔を浮かべ軽く手を挙げながら声をかける。
「チョリーッス、叶くん!! 相変わらず今日もつまんなそうな顔してるね~」
「お前は相変わらず馬鹿みたいな顔だな」
「うわっ、何その言葉!! 僕ちゃん泣いちゃうよ!?」
「勝手に泣け」
公園のベンチに座って自分を待っていたであろう叶に冷たい言葉を投げつけられて青年は泣き真似をするが、更に冷たい言葉を投げられる。
「叶くん、仮にも一応天使なんだからもうちょっと優しい言葉を投げかけてよ。僕ちゃんのガラスのハートが砕け散っちゃうよ」
「とっとと砕け散れ」
青年の言葉に叶は馬鹿にしたような視線で答える。
そんな返事に青年はオーバーリアクション気味に肩を竦めると大きな溜め息を吐く。
「全く叶くんったらホントに冷たいんだから」
「そんなくだらねーこと言ってねーでとっとと行くぞ、馬鹿」
「ちょっ、叶くん! 俺の名前馬鹿じゃないよ!? ちゃんと志木って名前ありますよぉ~!」
「お前は馬鹿で十分だろ」
「ひどっ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ志木を無視して叶はベンチから立ち上がるとさっさと歩いていく。
その後を慌てて志木が追いかける。
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