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叶はある住宅地に行くと胸ポケットから小さな機械を取り出し、それをいじり始める。
「確かこの辺だったはず……」
ブツブツと呟きながら機械をいじる叶の横で志木は退屈そうにあくびをする。
「ふあぁぁあ、叶くん、まだ~?」
急かすように言ってくる志木に叶はイラついたように睨みつける。
「うるさい。役立たずな死神は黙ってろ」
「役立たずって、ひどいよ!!」
「じゃあお前、コレ使えんのかよ?」
そう言って差し出された機械に志木は素直にごめんなさいした。
「……俺が機械オンチなこと知ってるクセに。叶くんはやっぱイジワルだ」
必要以上に落ち込んでるフリをする志木に叶はウザそうな視線を投げつけて再び機械をいじり始める。
この二人の職業は死神と天使である。
一見すると志木が天使で叶が死神に見えるが、実はその逆で この無駄にハイテンションな志木が死神で、そんな死神にさっきから容赦のない言葉を浴びせかけている叶が天使なのである。
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