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「外で、遊びたい? それだけ?」
あまりにも意外な願い事だったのか志木は目をぱちくりさせて問い返す。
それに加奈子は無言で頷く。
「それだけでいいの? ほら、もっと他にお金がいっぱい欲しいだとかあるじゃん?」
「死ぬのに金がいっぱいあっても仕方ねーだろ」
「もう! 叶くんはデリカシーないの!?」
「…………お前にだけは言われたくねー」
志木の馬鹿げた提案に思わず暴言でツッコんでしまった叶はすぐに自分の中で反省したのだが、それを志木に咎められて機嫌悪くなる。
「あたし、小さい頃から病気でずっと病院と家のベッドを行ったり来たりだったから、外で遊んだことないの……」
「だから外で遊びたいの?」
「うん」
加奈子の言葉に納得したように志木は頷くとにんまりと笑う。
「オッケー♪ じゃあ、ちょーっと目を閉じてて」
「え……?」
そう言うと志木はどこから取り出したのか、志木の身長程もある大きな鎌を振りかぶり、加奈子が目を閉じたのを確認すると躊躇うことなくその大鎌を加奈子に振り降ろす。
瞬間、加奈子は何かが自分の中を通り抜けたような感覚がして閉じてた目を更にギュッと閉じる。
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