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「はい、もーいいよ。目ぇ開けて」
志木の声に加奈子は閉じてた目を開ける。
目の前には先ほどと変わらず馬鹿面で笑っている志木の顔がある。
「さ、立ってみて」
そう志木に言われて加奈子は困惑する。
何故なら加奈子は病気と共に下半身麻痺の状態であったため、今まで一度も自分の力で立ち上がったことがないのだ。
「大丈夫、立てるから」
戸惑っている加奈子に志木はにんまり笑いながら手を差しのべる。
差し出された手に加奈子はおずおずと手を伸ばす。
志木は自分の手に加奈子の手が乗った瞬間、その手を掴みグイッと自分の方へと引っ張る。
「きゃっ!」
小さな叫び声とともに加奈子の体はすっぽりと志木の胸の中に収まる。
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