1:崩れる日常

8/10
前へ
/51ページ
次へ
「……今と、真逆だな。」 そう言った勝の顔は、物凄く引きつっていた。 「今は、容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、クールで無表情で素っ気ない奴だぜ?」 「なんでこうなったのかなあ?」 咲は首を傾けた。 そんな様子の咲を見てから、どこか遠くの一点に視点を移して言った。 「知らん。だけども、漠然と強くなりたいと思っていたのは事実だ。」 咲は目を丸くした。 「あの祐人からこんな台詞が聞けるなんてねー。」 その言葉に、勝がニヤリと笑う。 「今じゃ俺と参考書と筋トレしか友達いないんだぜ?」 「うわあ。昔だったら有り得ない。」 祐人は勝を睨み付けた。 「お前が知らないだけの話だ。……少ないがな。」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加