1:崩れる日常

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そんなこんなで、いろいろあって夏休み。 祐人は駅の前で一人立っていた。 今日は水族館に行く日である。 腕時計を見ると、約束の時間から30分経っていた。 祐人は顔をしかめ、周りを見渡した。 すると、茶髪の男と、黒髪のショートカットの女の子が視界に入る。 「スマン!遅れた!」 勝は女の子を連れて走ってきた。 その女の子には見覚えがあった。 確か同じ小学校だったような……。 「…咲?」 記憶の奥深くに眠っていた顔と照らし合わせて、多分同一人物だと思われる女子の名前を言った。 「祐くん?」 そう言いながら、その女子はは首を傾げた。 名前は合っていたらしい。 勝の目がまばたきを繰り返している。 「知り合いなのか?」 「知り合いもなにも…幼なじみだよ。」 咲はそう言った。
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