戸惑いの中で

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「ラン。そろそろ決める時だ。」 一人の男が、ランを見つめ言う。 「リラ。あなた達2人が決めるべき事柄です。」 輝かしい少女はニッコリ笑う。 ランとリラには、選択が狭まれていた。 「もう一度、聞いてもいいですか?」 ランの眼差しは真剣だった。 「しつこいな。」 男は漆黒の瞳を鋭く、リラに向ける。 「これで、最後にする。」 リラの眼差しも真実だ。 「でわ。私がお話します。」 輝く少女が笑顔を浮かべて語りつづる。 「我、幾千もの神を司る。星が瞬き、燃え、散りゆく運命を見届ける者。」 ゆっくりと風が流れる。 「どんな命にも、与え、失い、命に戻す。」 太陽の光が降り注ぐ、大きな庭の中心に。 「ただ、人間には備わってはいけないモノが生まれました。」 広い広い、草原が広がり囲むようにガラス張りの建物がそびえ建つ。 「破壊するモノがいます。平行を保つ為に守るモノが必要です。」 その庭の中心に 幾つものの台座が重なった存在がある。 台座を登りきると、雲でできた椅子がありそこに語り次ぐ少女が座っていた。 「守るモノ達には二種類あります。´天使と悪魔`この2つの心が必要です。」 少女を守るように 台座に置かれた木々達が影をつくり、静かな風を吹かせる。 少女は美しい。 「そして、あなた達は選ばれました。」 神を司る。 少女、ルゥーウ。 「´天使と悪魔`」 少女は笑う。 「なって…頂けませんか?」 輝く太陽の笑顔。 ルゥーウの問いに 「もし…ならないと、言ったらどうなるんですか?」 ランが訪ねる。 「別に何もない。」 男、凱芝は冷たく言い放った。 「別に何もない。元の生活が崩れる訳じゃない。やろうとやらまいとお前達の勝手だ。」 選択が迫っている。 「全ては意志だ。この世界は意志で成り立っている。」
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