出逢い

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ランは、魅入る様に体を起こす。 ヒラヒラと白い羽は楽しそうに舞い落ちてくる。 ランは羽を掴む為に、手を伸ばしたのではない。 羽がランの元へと、落ちてくるから自然とランは手を差し伸べたのである。 ランの手のひらに舞い落ちる、一枚の白い羽。 ランが掴もうと、指先が触れた瞬間。 バチッバチッ! 「いたっ!」 小さな電流が流れる様な、痛みが手先から肩までを走った。 ランはふと、自分の手の内に目線を戻すと 「ない。」 羽が無くなっていたのである。 すると、 コツコツコツ。 足音がランの背後から近づき、声がかかった。 「おい。学校の生徒か?」 くすんだ霧のかかった様な深い声。 声の持ち主の方へと、ランが振り向く。 そこには、見たことの無い背筋を伸ばした、ランと同じ深く赤い瞳の女性が立っていた。 「キミは…?」 ドクンッ! 心臓が高鳴る。 彼女と目が合う。 ドクンッドクンッ! ランと同じに、彼女は不快な顔をして、高鳴る胸に手をあてた。 ドクンドクンドクン。 「なんだ!これはっ!」 彼女が強ばった表情で叫んだ。 もちろん、ランにも理解すら出来ない。 ドクドクドクドクッ! 心臓の鼓動が加速する。 「っつ!」 ランは手の内で羽を掴んだ時の、同じ痛みを感じた。 ランが、出逢ったばかりの彼女の腕を掴む。 目と目が合う。 同じく息を吸い込んで、2人は同じ言葉を放った。 「やっと、出逢えた。」 ランと彼女はどうして、その言葉を言ったのかわからない。 どうして、同じ事を思ったのかわからない。 どうして、そう感じたのかわからない。 でも、やっと´出逢えた`そう思った。 赤い瞳が、ユラユラと燃えているのが分かる。 お互いに。 吸い込まれていきそうな赤い瞳。 その時だった。 パァァ…。と、明るい白い光があたりを包む。
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