出逢い

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「おいっ!」 暗闇の中で、あの彼女の声がする。 「目を開けないと、何も見えない。」 ランは、ソッと目を開ける。 現実なのか、夢なのか。 受け入れられるのか、 拒絶するのか。 先にあるモノが なんの意味を成すのか。 ランは、瞳の奥を輝かせた。 初めての感覚。 怖いのか、楽しいのか、それとも既に拒絶しているのか分からない。 スリルという感覚。 目を開けると、始めに映ったのは彼女で…。 次に大きな扉が、目に飛び込んできた。 大きい扉。 一言で表現するのは、容易いものだ。 ビル何階建てと言えばいのか、山一つ分と言えばいいのか。 ランと彼女の想像を越した大きな扉。 しかし取っ手は、普通の人間が握るサイズなのでゴマ粒のように分かりにくいのだ。 大きな扉。 その扉の他には何もない。 どんなに見渡しても、どんなに目を凝らしても何も無いのである。 音もしない。 匂いもない。 動きもしない。 ただ、真っ白な世界が広がっていく。 そして、彼女がランと目を合わせた。 お互いの´羽`は見当たらない。 「あの…ここどこか知ってます?」 ランは呑気に彼女に問いかける。 返ってくる答えは分かっているのに。 「知らん。」 と、彼女は当たり前の回答をした後 「不思議体験ってヤツかな?」 ランと同じく、彼女もズレた感じで呑気なのだ。
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