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太陽が地球を照らすように光は永遠にあり続けなければ生きてはいけない。影が光を食らう時、全ては生き絶えてしまうのか?
光は熱を放ち、熱は全てを焼付くし、影を食らい尽くす。残された真っ白な世界には、光しかない。
影は熱を奪い、冷め切った影は全てを固った冷たい影とし、光をさえぎる。影は根元深くに忍び込み内から光を食らい尽くす。残された真っ黒な世界には影すらない。
世の均等を保つには、犠牲にしなければならないこともある。それが私が祖父から聞いていた言葉だった。
友人は言った。
「犠牲とかそんな言葉を使わなくてもいいだろう?お互いルールを守ればそれは犠牲ではないと思うけどね」
それが私と友人の交わした最後の言葉だった。
「先程、発生しました都心部の異常な停電障害については、まだ復旧がされておらず原因も分かっておりません。都心部へお出かけの際は十分お気をつけください。続きまして、天気予報を…」
TVの明かりに照され、部屋の片隅に座り込む少年は、引き籠もりと周りから言われていた。その両親は餌を与えるように死なない程度の食事を少年の部屋に運ぶだけで少年に対して干渉しようとはしなかった。
少年の疑問は、何故、生きてるんだろう?何故、生かされてるんだろ?何故、産まれてきたんだろ?というものだった。
少年の部屋は暗く影を落とし、希望が見えない部屋だった。
「ふざけんなよ!なんで停電なわけ!ゲームできねぇじゃん!」都心部に住む少年は裕福な家庭で育ち、将来を保障されているかのような安定した生活を送ってた。
3階建ての一軒家に暮らし車庫付きの広い庭では、両親はガーデニングを楽しんでいた。週末には近所の人を集めてはお茶会を開き自慢話を口にする。
3階の子供部屋から階段を掛け降りて少年はリビングへと向かった。
「ママ~。お腹すいたぁ~。TVも見れないしつまんないよぉ」少年は母親に愚痴をこぼした。
「ほんとねぇ。早く停電治まらないかしら。家事が出来なくって困っちゃうわぁ。オール電化も不便ねぇ。」少年は母親の言葉を聞かず、お腹をすいたと言う言葉を繰り返し言いながら、母親の服を容赦なく引っ張っていた。
「まだ、外も明るいからファミレスにでも食べに行く?」母親は少年の気を落ち着かせる為に、そう言うと外出用の服に着替えるためにクローゼットへと向かった。
少年は嬉しそうに母親の後を付けて行った。
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