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―はじまりは―
そう、あれは去年の秋ね。私が遼を好きになった日。
遼は私が好きだと、何度もそう言ってた。
でもそれはお姉さんとしてだと、そう思っていたの。
軽くあしらって、本気で捕らえず、あくまでも可愛い弟として見ていた。
だけど去年の秋、はっきりと遼に言われた「好きだ」って言葉。いつもの可愛い遼じゃなくて、いつもは見せない男の子の顔。
その時だったかな、私も遼のことを好きになったのは…
遼は私よりも小さいわ。それに私の方が年上。
もしかしたら遼にはもっと似合う子がいるかもしれない。
そう思って、遼の告白を断ろうとした。でも遼は言ってくれたの。
“そんなの関係ないよ。僕はそんな理由なんていらない、樹里亜ちゃんの本当の返事が聞きたい!”
その言葉を聞いて、私は遼と付き合うことにした。
「樹里亜ちゃんっ!」
天てれを卒業してからなかなか会えないけど、今日は久々のデート。
今も変わらず、私を大切にしてくれる遼。
そんな遼の伸ばす手に私の手を添えて歩いた。
―はじまりは―
(遼の暖かな言葉から)
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