はじまり

3/5
前へ
/60ページ
次へ
[じ] ―人生の中で― 今日は大好きな樹里亜ちゃんとデート。実はプレゼントも用意してある。 別に誕生日とか記念日とか、特別な日じゃない。 ある小さなお店で見つけた、可愛い指輪。 高くない、僕のおこずかいで買える安い指輪だけど、ハート型の小さなピンク色のストーンが可愛くて、樹里亜ちゃんに渡したかった。 喜んでくれるかな?笑ってくれるかな?僕のこと、もっと好きになってくれるかな? こんな僕でも毎日不安なんだ。 付き合う前も付き合ってからも樹里亜ちゃんから“好き”の言葉を言ってもらったことがない。 そんなのにこだわるなんて、女の子みたいだって言われるかもしれない。でも、樹里亜ちゃんは卒業してるし、なかなか会えない。 不安で不安で仕方ない。 そのことを師匠に相談したら、指輪をあげるといいんだって。 “他の男を寄せつけないために、俺はやったよ?” なんてかっこいい言葉をもらって、僕は急いで探しに行った。 だから今日はプチプロポーズをするの。 6月の花嫁、樹里亜ちゃんを一生大切に幸せにします! なんて心で呟きながら、樹里亜ちゃんとのデートを楽しんだ。 ―人生の中で― (大切な女の子は樹里亜ちゃん) →
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加