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[ま]
―真っ直ぐな―
もうすぐ暗くなりそうな空。夕焼けが僕たちを照らす。
「楽しかったわね」
「うん、楽しかった」
「もう、帰る?」
どことなく寂しげな表情で僕に問いかける樹里亜ちゃん。
そんな顔されたら帰したくなくなるよ。
「樹里亜ちゃん、ちょっと公園に寄ってもいい?」
「え?いいわよ」
優しく微笑んでくれる樹里亜ちゃん。やっぱり大好きだな、なんて実感しちゃったり…
僕たちは公園に寄って、ブランコに腰を下ろした。
「公園なんて久しぶり」
「…あのね、樹里亜ちゃん」
「ん、なあに?」
「これっ!」
「え?」
ブランコに座る樹里亜ちゃんの前に立って、指輪の入っている包みを渡した。樹里亜ちゃんは目を丸くしている。
「樹里亜ちゃんのこと大好きだから、ずっとずっと!…樹里亜ちゃんはどう思ってますか?」
樹里亜ちゃんは箱を開けて、中に入っている指輪を見て驚いていた。
そして、なぜか涙を流していた。
驚いて狼狽えたけど、僕は泣いている樹里亜ちゃんに手を伸ばして、腕の中へおさめた。
―真っ直ぐな―
(涙の理由は、なあに?)
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