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しばらく、辺りを静寂が包んだ………
まるでこの場が「霊」にでも支配されたかのように………
「ねぇ………それってまさか……家の近所で起きた事故じゃないの………?」
野次馬が話しているのを聞いていたけど………
状況が丸々一致しているのだ………
少女がトラックに轢かれ、頭と右腕が胴体と離れたらしい………
「そ、元々あったお話にそれを脚色してみたんだ~♪」
怖かった?怖かった?と嬉し楽しそうにはしゃぐ立案者………
「結局アナタが雰囲気ぶち壊しちゃったけどね。」
「だって暗いまんまじゃ終わりにくいじゃんか~。」
時計を見ると10時を回っていた。
「っと…そろそろお開きにしようか、時間も時間だし。」
解散した後、私は自宅へ向かった。
友達の家から自宅までは、「例の」道を通らないといけない………
まったく……変なこと言うから怖くなっちゃったじゃないの………
一人ごちてみるが、音は暗闇に吸い込まれていった…………
………?
何か変な音が聞こえた……?
…………まさかね………あ~やだやだ、だから怪談は嫌いなのよ。
──ヒタッ─ヒタッ──
………嘘……でしょ……?
確かに聞こえた………
しかも、「何かいる」感じがする………
本能は命じる
「走れ!!」と………
理性は命じる
「歩け!!」と………
頭の中がゴチャゴチャになっているが、まだギリギリ理性が勝っているようだ………
冷や汗が止まらない……
心臓が破裂しそうな程ウルサイ………
背後の「音」は一定の距離を保ったまま、ずっとついてくる………
どれだけ歩いただろう………
実際はそれほどでもないのだろうが、私はとても永く思えた………
(やっと家に着いた……!)
ここで気を抜かず、家の前の道路をよく確かめる。
……車通り無し!
急いで渡り、玄関のドアを開けた。
その時には、背後の気配は既になかった………
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