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「空が綺麗だね」
君は空を見上げながらそういう。
僕は、そうだね。と答える。
君は気が付いていないかも知れないけど。君の言葉には、心を感じられない。
無機質な硝子のように澄んだ君の声。
けれど君の言葉は、硝子のように冷たくて、壊れやすくて。
「なぁ」
呼ばれて、僕は君の方を向く。
今度は何を言うのかな。どんな言葉に、硝子のような無機質な心を乗せるのかな。
「寒くないか?」
形だけの、問い。
大丈夫。と言って、僕は笑った。
「なぁ」
今度は、どんな言葉かな?
「好きだ」
僕は、君の言葉には驚く。
ありがとう。と言って僕は君の言葉を受け流してしまったけど。
本当は、嬉しかった。
君の言葉に初めて、硝子のような無機質な心ではなく。
温かな心を、感じられたから。
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