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「なぁ、そんなに謝ってどうしたの?」
俺は、声をかけた瞬間にやっちまったと思った。
「猫が捨てられてるみたいなの……、まだ小さいし可哀想で、家では一匹しか飼ってあげられないし…」
由美は俺にそう言うと、また猫に視線を戻した。
「可哀想って思うのは分かるが、二匹飼ってやれないなら他の奴がしてるように見て見ぬフリするればいいじゃん」
俺は、自分の言った言葉を直ぐに後悔した。
もっと優しく言えよ俺。
すると由美の口からは、意外な言葉が発せられた。
「あははっ、健悟くんもお節介さんの仲間なわけだ。」
由美は、俺の方に振り向きニコッと笑った。
「えっ?なんで?そうなるの?俺、めっちゃ酷いこと言ったよ?てかなんで俺の名前知ってるの?」
俺の頭の中で?が出まくっていた。
「酷いな、今日から一緒のクラスでしょ?名前ぐらい覚えて当然だよ。」
由美は、当たり前だと言わんばかりに小さな胸を張って言った。
「それに、お節介さんの仲間ってのは、君がさっき言ったように、君も私のこと見て見ぬフリすればよかった訳だよね?でも君は見て見ぬフリなんてしないで私に話しかけた訳だ。」
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