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「ふー・・・」
剣を杖にして一息つく――ここにきて疲れが体を駆け巡る
「なかなか疲れたな・・・」
くるりと後ろを振り向く――永遠に続いているのではと考えられるほどの長い廊下が一直線に伸びている
「だが、ようやくきたか」
ガシャガシャと鎧が音を立てる――あれほど気合いを入れて手入れをしたのに今となっては傷だらけ。苦労をかけ手入れをした分だけ余計にため息が漏れる
しかし――顔をあげ重圧感たっぷりの扉を見つめる
「この先に、魔王が・・・」
生唾を飲み込み、目を閉じる――覚悟はできている
剣を強くにぎりしめ、扉に手をかける――そして
「魔王ーーー!」
力強く扉を開ける。目に飛び込んできた光景――それは黒いマントに身を包み、素顔を恐ろしいマスクで隠し、身の丈を軽く越える玉座に座る魔王――ではなくその玉座の隣に寝そべる魔王だった
「あっ・・・」
「・・・」
俺はなにも言わずに扉を閉めた
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