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私の前の席の子が座ると同時に立ち上がる。生徒の視線は好奇心に満ちている。
「ヒカリ・スノゥレッドです」
聞き慣れない家名にざわつく人々を睨みつけて続けた。
「母は東洋人、父は西洋人なので、変わった容姿をしていますが、宜しくお願いします」
そそくさと座ろうとしたら、ねぇ、と呼びかけられた。視線をやった……あぁ最悪。教室の王子様ヴィークである。ヴィークは私をじっと見ながら尋ねてきた。
「君は……確かメルセン家の長女だよね。どうして家名が違うんだい?」
質問も質問だが、ただでさえいじめのターゲットになりやすい私に、女の嫉妬という恐ろしいものを付加しないでほしい。
私はため息をつくと、言葉を選びながら説明する。
「確かに私はメルセン家当主の娘ですが……母が東洋人なので、認めてもらえないんです」
「そうだったんですか……失礼なことを伺って悪かったね」
謝られたら謝られたで、周りの女子の視線が更に痛くなる。私は無表情のまま会釈をすると、すぐさま座った。学校はやはり面倒くさい。
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