第一章 異端の赤雪姫

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ありがたいことに、次に入ってきた人物のお陰で、皆の注目が逸れた。私自身も、入ってきた男子に驚いた。金髪に深緑の瞳、整った顔立ちに思わず見とれてしまったのもあるのだが、理由は他にもある。 タイミング良く、女子の一人がおずおずとその男子に話しかける。 「あの、もしかしてセランダイン家のヴィーク様ですか?」 男子は少し驚いた顔をしたが、柔らかく微笑んだ。 「そうです」 途端に響く女子の歓喜の叫び声。 セランダイン家は上流貴族の家柄の一つだが、その中でも当主の次男のヴィークはその容姿故に人気がある。私もパーティーでちらりと見かけたことがあった。 それにしても、と私は考えを巡らせる。どうして上流貴族が魔法学校に通うのだろう。普通は家庭教師がつくものだが……。 そんなことを考えているうちに、担任らしき教師が入ってきて、さすがに生徒たちも席についた。
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