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でも太田今ここにいる。ちゃんと立っている。
「支えてくれる人がおるって、ええな。大事な人がおるって励みになる」
「うん」
人間ってきっと誰かにささえられて、必要とされて生きていけるんだよね。俺が太田を必要としているように、おれも太田にとってそうありたい。お互いを高められる間柄でいたい。
「ソラに出会えてよかった」
太田が俺の手をぎゅっと握った。人前で男同士で手を握ることに抵抗がある。でも、俺も太田の手を握り返した。
「俺も……」
この先もずっと一緒にいたい。すべての人にそんな大切な人がいればいい。満里菜にも。
俺達は暫く無言で美しい夜景を見ていた。
頂上に向かって再び車を走らせる。ロープウェイを頭上に見上げ、カーブの度に夜景を目に捉える。
「なかなか場所があいてへん」
「場所?」
「そう。路肩が広くなってて車が停めれるとこがあんねんけどな、空きがない」
確かに、ところどころに駐車できるスペースがあって、そこには車が止めてある。大抵のスペースからは神戸の夜景が見えるようだ。
「車から見る夜景も十分綺麗だよ」
「そうか?」
太田の声は不満気だ。
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