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優しい歌声のラブソングに包まれながら、俺たちは六甲を後にした。
山道を暫く下ると、しばらく車は閑静な住宅街を通り抜けていた。そこを過ぎると、交通量の多い道路へと出た。景色が一変する。
「ソラ、休憩せえへんか?」
「ごめん、疲れた? ご飯にする?」
ここまで運転を太田に任せっきりだった。きっと山道で疲れたのだろうと思っていたら、太田が笑いだした。
「え、なんで笑うんだ……?」
不思議がる俺に、太田は更に笑い声をあげた。
「休憩の意味が違うで。よお周り見てみ?」
「あっ……」
道路の両脇に立つのはネオンも華々しい建物で……いつの間にか車はホテル街を走っていた。
「休憩して行く?」
「……してく」
俺の返事をきいた太田はウィンカーを点滅させ、派手な建物に車を滑りこませた。
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