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「なんか……想像したのと違う」
「どう違うんや?」
「凄い部屋がシンプル。もっと……けばけばしいのかと思ってた」
俺達が入った部屋は、一見するとビジネスホテルの様だった。華美な装飾もなく、やたら大きなベッドがなければそれとわからない。
「ソラはラブホ始めてやもんな。ガラスばりの風呂とか回るベッドとか、考えてた?」
「……イメージとして…」
「今時そんなんあらへんて。露天風呂とかプールのある部屋やってあるねんで」
俺が初心者だと思って、からかって喜んでるんだ。知識がないっていうのは時に悲しい。
「悪かったな、なんも知らなくて。お前はいろいろ知ってるもんな」
「ソラ……」
とたんに太田が悲しそうな顔になる。今のは完全に俺のやつあたりだ。
過去をほじくりかえすのは、相手に失礼だ。
「ごめん、太田」
「からかった俺も悪いんや。そやから、あいこな」
「ん……」
風呂沸かしてくるわ、といいながら太田がバスルームに消えた。その間に俺は室内をいろいろ見てまわる事にした。
普通のビジネスホテルとの相違点を探してみる。
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