大阪ロマン

19/39
前へ
/71ページ
次へ
「そうか。照明落とすか?」 「照明?」 「ちょっと来てみ」  太田がベッドに乗り上げ、枕元のタッチパネルを指差した。俺も彼の後を追ってベッドに昇った。  太田が手元のパネルに触ると、室内の照明のタイプが切り替わった。明るくなったり暗くなったり、あるいはピンクになったり……。いろいろ試してみて、最終的にフットライトだけを点灯させた。 「いつもは俺の部屋やから、たまには違うのもええな」  太田はとても楽しそうだ。今度はBGMを選んでいる。これもたくさんチャンネルがあるようだ。 「ジャズでええか?」 「いいよ」  選局している太田の横で、俺はテレビのスイッチをオンにした。とたんにAVビデオが大音量で写しだされた。 「えっと……」  きっと前のカップルが見て、そのままだったのだろう。流れるのは気まずい空気だ。 「ソラはAV見たことあるか?」 「それくらい、あるさ」 「やっぱり?」 「当たり前。無い男の方が少ないって」   健全な男子なら、一度や二度は見たことがあるだろう。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1671人が本棚に入れています
本棚に追加