大阪ロマン

　目の前の光景に、俺は少なからず衝撃を受けていた。どうしてご飯をおかずにご飯が食べられるのだろう。
　俺の視線に気付いて、太田虎太郎(ｵｵﾀｺﾀﾛｳ)が顔を上げた。
「なんや？」
「どうしてお好み焼きと一緒にご飯を食べてるんだ？　お好み焼きはおかずじゃなくてご飯だろ？」
　俺は疑問を口にした。
「はぁ？　お好み焼きはおかずやで？」
　そんなの常識だとでもいいたげな顔で、太田は俺を見る。
「いや、だって主食が炭水化物だろ？　だったらお好み焼きだって炭水化物なわけだし」
「そんなん関係ない。お好み焼きはおかずや」
「おかしくない？」
「ぜんぜんおかしない」
「ああ、そう」
　太田はこうと言ったら譲らないから、これ以上の言うのやめるけど、でもやっぱり納得いかない。
　俺、柳沢宇宙(ﾔﾅｷﾞｻﾜｿﾗ)は大学の春休みを利用して、太田と一緒に関西に旅行中だ。太田は実家が大阪だから、旅行ではなくて帰省になるのか。
　朝東京を発って、昼過ぎに新大阪に着いた。そのまま道頓堀や吉本に行き（関西のパワーに圧倒された！）、太田の馴染みのお好み焼き屋で夕食をとっているところだ。