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「え~と……どうなのかな」
俺はそんな経験ないから何ともコメント出来ない。
「あほらし。ああ俺も風呂入ろ。満里菜はよ帰り」
「じゃあ送って。夜道の女の子の一人歩きは危険やねんから」
「女の子ってお前……」
甘えた様にしゃべる彼女に、太田はチッと舌打ちをした。
「しゃあないなあ。ソラも一緒に行くか?」
「うん」
一人で待っているのもなんとなく落ち着かなくて、俺も一緒に送ることにした。
外に出たらひんやりとした空気に包まれた。春とはいえやはり夜はまだ冷える。
「東京はどう? もう馴染んだん?」
「見たらわかるやろ? ばりばりや」
「何がばりばりなん。わけわからんわ」
幼馴染だけあって二人とも遠慮がない。寂しいような、悔しいような、羨ましいような、複雑な心境になる。嫉妬、してるのかなぁ。
軽口を聞きながら歩いていたら、軽快なメロディーが夜道に響いた。
「ごめん、俺の携帯や」
太田は俺達に断って電話に出た。砕けた口調は友達からだったようだ。
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