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「サチ、乗れよ。」
ヨシは自転車のハンドルをグッと握り、顎で後ろの席を指した。
「えっ!? ダメだよ!! 私、重いもんっ!!」
「そんなことねーよ。 ほら、早くっ!!」
男の人が運転する自転車に、乗ったことなど無かったのだろう。
急かすヨシをよそに、サチはおどおどとしている。
きっと、周りの目も気になっているはず。
長居せずに、この場を後にしようと考えた。
「あ―…私、おじゃまだねっ♪ 2人とも、また明日ねぇ!!」
「おうっ!!」
「えっ…!! あっ、うん。 またねぇ~。」
私は軽く手を振り、くるりと2人に背を向けて歩き始めた。
少し離れた場所に来ても、2人の笑い声が聞こえてくる。
そんな気を紛らわすように、カバンに入れていたウォークマンを取り出し、イヤホンを耳にあてる。
流れてくる曲は、シードというアーティストの曲。
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