3731人が本棚に入れています
本棚に追加
/1900ページ
「えっ!! …ううん、2人で行っておいでよ!! 私、ちょっと用事できちゃって…。」
そう言いながら、私は手に持っていた携帯電話を耳の横で少し振った。
「…親から?」
「う…うん!! ちょっとね…。」
「そっかぁ。 じゃあ、しょうがないね。」
いつも一緒にいるサチには、下手な嘘をついてもすぐにバレてしまう。
サチの少し後ろで黙っていたヨシは、私の顔を見てニッと笑い、手を顔の前に持ってきた。
声には出さなかったが、「こぢょ、悪い!!」と口が動いている。
『今度、ヨシに何か奢ってもらわなきゃなぁ…。』
そんなことを思いながら、私は持っていた携帯電話をポケットに戻した。
「…じゃっ!! 2人で仲良くお勉強するんだよー♪」
「何、それぇ~!! はいはいっ♪」
何だかんだ言っても、心なしかサチは嬉しそうな顔をしている。
すると、ヨシは引いていた自転車に乗り、ペダルを蹴り上げて片足を乗せた。
最初のコメントを投稿しよう!