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急速に求めたりしない。
決して彩乃を怖がらせたいわけじゃないから。
ゆっくりと慣れていけばいいから。
遼平はそっと唇を重ねる。
触れるだけの軽いキス。
それでも、彩乃にしては精一杯で。
緊張と恥ずかしさで彩乃の心臓が跳ね上がる。
離れていく遼平の唇は、名残惜しそうに小さく音を立てていく。
「そ、それじゃあ……日曜に……」
彩乃は遼平の家を後にした。
彩乃の帰った後、遼平は大切なことを思い出した。
次の日曜が何の日だったのかを。
とても大事な日だった事を。
日曜まであと二日。
その二日間、遼平は仕事部屋に籠もった。
――どうか、時間を下さい……あと少しだけ――
――せめて日曜日までは――
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