第二章

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「遼平……これ……」 それは、まさしく『告白』の続編。 『恋人』というタイトルの小説だった。 「彩乃にプレゼント。記念日だからな」 「いつの間に書いたの……?仕事で忙しいって言ってたのに」 「それは企業秘密です」 実はろくに睡眠も取らずに二日で仕上げて、 昨日書き上がったばかりだとは言えない。 彩乃の為だけに書かれた小説。 それを読み始める彩乃。 「おいおい、車の中で読んだら酔うぞ」 「大丈夫だもん。早く読みたいの」 真横で読まれるのはさすがに恥ずかしいものがあり、できれば帰ってから読んでほしいものだ。 さほど長い文章でもないその小説は、テーマパークに付く頃には読み終わっていた。 「遼平……ありがとう。最高のプレゼントだよ」 「そうか、それは光栄だ」 運転しながらちらりと彩乃を見た遼平はぎょっとした。 彩乃の頬を伝う涙を見てしまったから。
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