第一章

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昨今の女は、高校生でもキスなんて挨拶代わりだというのに、彩乃の反応は初々しくていい。 少しぐらい恥じらいを持ってる女の方がかわいいのだ。 だが、健康な二十代男子がそれでいいのかというと話は別で。 やはりそれなりに関係は持ちたいところでもある。 未だ彩乃に手を出さない遼平は、我慢強いというよりも、それは全て彩乃への愛故である。 遼平は有り余った欲求をどうするのかと言えば、彩乃には内緒で執筆した官能小説にぶつけているのである。 決して健康的とは言えないのだが。 浮気……という手段は遼平には思いつかなかったのかといえば、そうでもなく。 言い寄ってくる女はたくさんいた。 彩乃がいると知っても言い寄る女はいるのだ。 しかし遼平にその意志はなく、来る者全てを拒んでいた。 それだけ彩乃への想いが強かったのだ。 「ねえ、遼平。覚えてる?私たちが初めて会った時のこと」 「ああ……彩乃がうちの大学受験に来て、派手にすっ転んだ時な」
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