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私には他人にはない能力がある。
それは――――――
私には付き合って2ヶ月になる彼がいる。
すごくカッコイイって訳じゃないけど、優しくて、私を大事にしてくれるステキな人。
彼と出逢ったのは、祖母のお見舞いに通っていた病院だった。
おばあちゃん子の私は、休みになる度に顔をだしていた。
いつからか私は、病室から帰るとき入口の自販機でジュースを買い、裏手に回って飲んでから帰るのが習慣になっていた。
病院の裏手は林になっており、その向こうは見えない。ま、興味もなかったんだけど…
いつものように壁にもたれながら一休みしていると、目の端にちらっと影がよぎった。
そちらに振り返ると、彼が立っていた。
「こんにちは。いい天気だね。」
普通なら気軽に声をかけられたら適当にあしらってその場を後にするはずが…
その笑顔に、私は惹かれてしまった。
「お見舞い?」
「え、ええ…あなたは?」
と、そこまできいて気付いた。
彼は患者服を着ている。
気まずくなり、下をむく私。
すると、くすっと笑う声がした。
「気にしないで。もう退院はきまってるんだ。それまで退屈で出歩いてるんだよ。」
顔を上げると、またあの笑顔でこちらをむいていた。
急に恥ずかしさを覚えた私は、いたたまれなくなってしまった。
「は…早くよくなるといいですね!では、私はこれで…」
挨拶もそこそこに、逃げるようにしてその場をあとにしたのだった。
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