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夏休みに入り、頻繁にお見舞いに行くようになった私は、度々彼と顔をあわせるようになった。
逢うのはいつも病院の裏手。
待ち合わせしたように、私は正面玄関から、彼は裏口から同じタイミングで出てくるのだった。
「また同じでしたね。」
「ホント、僕ら気が合うみたいだ。」
「これじゃ、携帯電話いりませんね。」
「いや、必要だよ。」
急に真面目な顔になる彼。
……何……?
様々な思いが駆け巡る。
「僕明日、退院するから。」
なんだ…そういうことか…
「じゃ、淋しくなりますね…」
「だから、よかったら…コレ。」
小さな紙切れを渡すと、彼は裏口へと戻っていった。
紙には、携帯番号とメアド、そして、
「好きです。また逢いたい」
の文字。
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