第一章 異世界 第一部 目覚め

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愕然としていた海原だったが引戸をを開く音で音がする方向を向いた。父は海原を連れて玄関の方へと連れてった。 玄関には既にミヨとサヨ、母が玄関で靴を脱ごうとしている男と親しく話していた。 父は海原に男を紹介した。男は息子で「湧」と言い、海原も自己紹介をした。 湧が着ている服は、大日本帝国海軍が着用していた下士官用の第1種軍装と言う制服である。しかし海原から見ては学生服にしか見えなかった。 その後、家族揃って夕飯を取ることになった。 通常軍隊では特別な用が無い限り帰郷は認められない。しかし湧の話から上官から1日帰郷する用にと言われたらしく帰郷したらしいのだ。 夕飯がすんだ後、海原は縁側に移動し暗くなった庭を見ていると湧が歩いてきて海原の横に座った。 「なんか浮かない顔をしているな。確かに居候は辛いがお前からはそれとは違う気がする。話してみろ」 湧が言うと海原は湧が頼もしい兄貴に見えた。 海原は湧に全てを話した。話を聞き終えると湧は少し神妙な顔になり黙っていた。 「信じられないな。子供の頃SF小説で同じような物を見たが」 海原は立て続けに 「湧さん、俺はこの世界で何もありません。どうすれば良いのかも解りません。」 と言った。 「いいか旭、いくら父ちゃんが此処に居て言いと言ったが。お前は男だ。養子組みをしても無職なら迷惑をかける事になるぞ」 湧はそう言ったが海原はさらに浮かない顔になって 「俺も何かしたい。でも見つからないんです。」 と言い切った。 湧は 「1つ良い方法がある。なぁ旭、お前目が良いか?」 と尋ねてきた海原は「はい」と答えた。 「なら海軍に入隊しないか?最近海軍では航空機パイロット候補生を募集してるんだ」 湧の口から出たのは誘いだった。
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