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湧は話を続ける
「とりあえず養子組みをして海軍に入れば衣食住は揃う。まだ入隊日ではないが。4月に入ればそうなる。悪くはないぞ」
湧から説明を受けたが海原はあまり嬉しく無かった。戦争はいけない行為でしか海原は考えていなかったからである。
海原は
「でも戦争になれば戦うしか無いですよね。俺は自分の死ぬのがいやです。」
と言った。
それに対して湧は
「確かに死ぬのは嫌だ。だがもし戦争になって此処が戦場になったら戦争とは無関係な民間人の命まで危険になるぞ。俺の両親も死ぬかもしれん。国家の利益や国民の財産を守るのが軍なんだよ」
と反論した。
続けて湧は
「それに男なら何か夢中になって守りたい物があれば良いと思うぞ。それに元の世界に帰れる可能性もあるかもしれないぞ」
と言った。
湧の言葉を受けて海原は少々考えた、今まで自分は大学に進学するにしても学力の事や将来の見通しも無く軽く考えてしまった事もあったからである。そして湧に
「帰るかどうか解らないけど、俺入隊してみようと思います。」
海原は始めて人生の決断をしたと思った。違うレールを始めて自らの意思で決めたのである。
湧はその翌日に家を出た。そして現地年号昭和14年4月1日に海原は皇国海軍航空学校に入営したのであった。
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