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まあ、これも今に始まった事でもない。
七海はかなりのワイン好きで、昼間でも、一人で飲んでる事が多々ある。こんな光景、直哉にとって、珍しくもなんともなく、極普通の日常的な事ではあった。
ただ、今日はなんだか少し様子がおかしい。テーブルの上にあるグラスが淫らに倒れ、床に敷かれたベージュの絨毯が赤く染ってしまっているのだ。
それに、よく見ると、七海の体は前屈みにダラリと頷だれ、どうやらワインに酔いしれ寝てしまっているようだ。
「ちっ…おい、七海!そんなとこで寝てたら風邪惹くぞ!」
直哉は舌打ちし、呆れながらに声をかけた。
しかし、七海は呼び掛けに、全く反応を示さない。
「ったく…おい、起きろよ、七海!」
ムッとしながらも、直哉は七海の後ろに歩み寄ると、その肩を揺さぶってみた。
すると、七海の体は、何の抵抗もなく、崩れるように前のめりに倒れてゆく。
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