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どこまでも、どこまでも闇が続いている。
僕はやっと死ねたんだ…。
ほんのちょっとだけ、家族や友人の顔が浮かんだけど、本当にちょっとの間だけだった。
自殺なんてことをしてしまった僕が天国に行けるなんて思ってはいない。
でも…せめて、僕の願いがかなうなら、「彼」に会いたいと思う。
こんな僕を「彼」が許してくれるなんて思ってない。
怒ってくれても、あきれてくれてもいいから、「彼」に会いたい…
どこまでも続く闇に漂いながら、僕はひたすら「彼」を思った。
ふと、温かなものに僕の意識は包まれた。
そう。
それはまるで、「彼」に抱かれているときみたいに…。
「彼」の声が聞こえた気がした。
それだけで心が温かくなる。
それだけで十分だと感じる。
「彼」の姿が一番見たかったけど、もう我がままは言わない。
知らず涙があふれる。
死んでも涙がこぼれることに驚きながらも、拭うこともせずにいた。
突然、白いもやのように「彼」の姿を見た。
けれど、僕の意識はそこで消えてしまった………
終り
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