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出会い
君と会うときはいつも突然だった。
最初の出会いは電車の中。
男なのに、同性のおじさんからお尻を撫でられていた君は、何も言えずにジッと我慢していた。
そんな君に俺は少しだけ欲情してしまったことに罪悪感を覚える。
だから、思わず助けてしまったけれど、何の疑いもなくお礼を言ってくる君が俺の心に傷を作る。
自分でもはっきりと意識した下心で君に近づいたのに、君のその率直までの素直な笑顔が俺を苦しめる。
2度目の出会いは俺のバイト先。
その日はたまたまフロアの人間がいなくて、俺がフロアに出た日。
君は窓際の奥の席で何か難しそうな本を読んでいた。
そんな君に俺は気がついていたけど、あえて声はかけなかった。
君もきっと気がついていたのかもしれない。
窓ガラス越しではあったけど、俺の仕事している姿をジッと見ていたことに俺は気がついていた。
そして今日は君をあるファーストフードの店で会ってしまった。
これは偶然?
それとも必然?
思い切って声をかけてみようか?
2度目に俺のバイトで俺を見たとき、君もこんな風に迷ったのだろうか?
そんなことをおもいながら、俺は寂しそうに外を眺めている君に近づいていった。
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