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君に最後に会ったいつだっただろうか。
研究が忙しくなったため、バイトを夜の時給の良いところに変えてしまった。
君を見ることが出来なくなってしまうのは、とても残念だけど、自分なりに区切りを付けるにはちょうど良かったのかもしれない。
俺の中で君の存在がどんどん大きくなっていくのを感じていた。
特別な存在になってしまう前に俺は君から逃げてしまった。
君に会わなくなって1ヶ月たった。
俺の想いも少しずつ薄れてきている。
たまに胸の痛みを感じるときがあるけど、それもそんなに気にならなくなってしまった。
そんなある日、俺は本屋である本を捜していた。
見つけて手にとろうとするともう一方で、その本に手をかける人物がもう一人いた。
「あっ・・・」
「えっ・・・」
押し留めていた想いが溢れそうになる。
君と会えたことは、嬉しいような・・・会いたくなかったような気がした。
でも君が晴れやかな顔で、俺をまっすぐ見つめて、ニッコリと微笑む。
そんな君に俺もついつい微笑む。
「この後、どこかでお茶をしませんか?」
俺がそう言うと、君は笑顔のままうなずく。
そして、俺たちは肩を並べてその本屋を出た。
今までは俺たちの出会いはすべて偶然だった。
だけど、明日からはちゃんと会う約束をしよう。
最初は偶然だったかもしれない。でもそれは運命だったと俺は今ではそう思っている。
君の笑顔を見ながら・・・・・・。
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