もし、非日常的日常があったとしたら

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 息が途切れそうになる、この感覚は何だろう。  この巡るましく、便利な物が多様化し増え続ける世の中。  これと言って何の特技も得ていなかった私。それこそ、自分にしか持っていない力なんて尚更。  よく聞く話だけれど。未来が見えるとか、超能力が使えるとか、人の心が読める、とか。そういった魅力的な力について、世間は多くの議論を重ねている。  有り得ない理想を交えた幻想に浸るのも、無理はない。  何故って、未来が見えたら地球危機だとか言う原因の自然環境、つまり地震等の予知が出来るし、超能力が使えたなら、瞬間移動なんかで、万が一自転車が故障した時なんかに死にそうなラッシュの電車にも乗らずに済むかも知れない。  それが出来たら、どんなに良いか。  でも一番、不可能に近くて、ましてや実際に人の考えてる事が手に取る様に分かるだなんて、それすら想像上、無理に近いと思う。  もし自分の身に使えたならば、一体、どれだけ嬉しい価値のある能力なんだろう。  叶えられないこの恋も、きっと、どうにかなるのではないだろうか。と、そんな夢すらをも抱いてしまう。  ――そして私は、事実そんな有り得ないと思っていた能力と、思いも寄らぬ形で遭遇する事になる。  人の心が読めるだなんて。  まさか、そんなもの、絶対有り得ないですよ。  
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