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次の日は金曜日で。
優里菜は久々にエノテカを訪れた。
マスターの顔がちょっと見たくなったから。
詰る<なじる>つもりも、とりなすつもりもなかった。
ただ、マスターの顔が見たくなったのだ。
早い時間にドアをくぐれば、店内にはまだ誰もいなくて。
「いらっしゃ・・・」
マスターは優里菜の登場に顔を上げたところで驚いて目を見開き、それから困ったように笑った。
懐かしい、優しいマスターの笑顔。
優里菜はかつての指定席だったカウンターに腰を下ろすと、ニコッと笑った。
「ご無沙汰してます」
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