6741人が本棚に入れています
本棚に追加
由岐と優里菜は焼酎のグラスを重ねて、よくわからないものに乾杯した。
「だからね、誤解なのっ」
「ん、つか、落ち着いて話して」
キムチをつまみながら、優里菜が促す。
「先週、ほんと偶然、縞さんが会社に来てね。見た瞬間わかったんだ」
優里菜も驚いた、その久々に聞く名前に。
…縞さんは、うちの営業。
由岐が会社を辞める前後に付き合ってた、不倫相手。
優しい眼差しの爽やかな笑顔、を、由岐には見せるらしい。
優里菜は、どこか作った薄っぺらい笑顔しか見たことがなかったけど。
それが見る側の感性の問題か、由岐にだけ素の笑顔を見せてるのか、確かめたことはないけど。
最初のコメントを投稿しよう!