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「営業に来たの?担当交代とか?」
優里菜の問いなんて聞いちゃいない由岐は、縞の姿を思い出して、遠い目をして、言葉を続ける。
「縞さんもすぐに気づいて、ビックリして」
そこで、ちょっと苦しそうにぎこちなく笑った。
優里菜は黙って聞くしかない、と、グラスを手に頷く。
「“久々に飯でも行こうよ”って誘われて」
その時の上気した顔を再現するかのような由岐を見ながら、優里菜は、由岐は縞のこと本当に好きだったんだな…って思った。
「会社終わって、ビル出たら、縞さんがいてね」
優里菜の眉間に皺が寄る。
…相変わらず、迅速かつ強引だこと。
優里菜は空になった2つのグラスに焼酎を注ぐ。
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