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マスターの視線の先には、2年前と全く変わった様子のない久保田。
やや疲れた笑いを浮かべて、軽く店内を見回してから、カウンターにつく。
「腹、空いてる?サラダ、キレちゃってるんだけど。あ、豆のサラダならできるけど、お前嫌いだもんな。
あとあるのは…」
イソイソと世話を焼きだしたマスターを、久保田が苦笑して遮る。
「飯、喰いに来たわけじゃない。いつもの赤」
マスターは照れたような笑顔を向けると、大ぶりのグラスに、こっくりと深い色の赤ワインを注いだ。
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