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「そろそろかなって、思ってた」
マスターは簡単なつまみを並べながら、話す。
久保田は黙って、ワインを一口。
芳醇な香りが広がるのを、味わってる。
「事件のカタもついたし、ね。
で、この後のご予定は?また、悪巧み?もう懲りた?」
「…ちょっと会わない間に、随分おしゃべりになったな。
元カノの影響か?」
牽制するような冷笑を口元に、呆れたように訊く久保田の言葉に、マスターはグッと言葉に詰まる。
そんなマスターに、久保田は表情をもとの淡々としたものに戻すと言った。
「一度の軽い浮気くらい、許してやれば?」
静かな久保田の声に、マスターはなんとか微笑む。
目はちっとも笑ってなかったけど。
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