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「ふ、ざけんなよ。
ざっけんなよテメェ!!」
ブチリという音を確かに聞いた。
「ナメた事言いやがって、人を勝手に値踏みしてんじゃねぇ!教会の秘密?一〇万三〇〇〇冊の魔道書?
確かにスゲェな、とんでもねー話だったし、聞いた今でも信じられねぇような荒唐無稽なお話だよ」
だけどな、と上条はそこで一拍置いて、
「たったそれだけなんだろ?」
インデックスの両目が見開かれた。
その小さな唇は何かを呟こうと必死に動くが、言葉は何も出てこない。
「見くびってんじゃねぇ、たかだか一〇三〇〇〇冊を覚えた程度で気持ち悪いとか言うと思ってんのか!魔術師が向こうからやってきたらテメェを見捨ててさっさと逃げ出すとでも考えてたのか?ざっけんなよ。んな程度の覚悟ならハナからテメェを拾ったりしてねーんだよ!」
上条は口に出しながら、ようやく自分が何にイラついているのかを理解した。
上条は単にインデックスの役に立ちたかった。
インデックスがこれ以上傷つくのを見たくなかった、それだけだった。
なのに、彼女は上条の身を庇おうとしても、決して上条に守ってもらおうとはしない。
たったの一度さえ、上条は『助けてくれ』という言葉を聞いた事ない。
それは、悔しい。
とてもとても、悔しい。
「……ちったぁ俺を信用しやがれ。
人を勝手に値踏みしてんじゃねーぞ」
たったそれだけの事。
たとえ右手<チカラ>がなくても、ただの一般人でも、上条には退く理由がない。
そんなもの、あるはずがない。
上条当麻
ナレーション
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