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『……お昼のニュースです。本日の午前十一時頃、南地区の五月女高校で、三人の男が銃を乱射する事件がおこりました。被害にあったのは教室で授業を受けていた生徒で、うち、五人が死亡、二十四人が重軽傷を負い……』  イヤホンから聞こえるアナウンサーの声は冷静だ。あまりにも冷静すぎて現実味が湧かない。時々(本当に時々だが)、何とも思ってないんじゃないかと考えてしまう。 『……主犯の男は依然逃走中であり、周囲に注意を呼び掛けて……』  そういや、五月女高校って、大学(ここ)の近くじゃないか。……まぁ、こんな奥まで入ってくるわけ、ないよな。  ふと時計を見ると、針が一時を指そうとしていた。もうすぐ次の授業が始まる……あの教授、遅刻に煩いからなぁ。早めに行くか。  始業五分前の教室は人が居て(当たり前か)結構騒がしい。俺はいつも通り、窓側の一番後ろの席に座ろうとした。が、そこには先客が居た。  なんだか肌が白っぽくて、病み上がりみたいな雰囲気を纏った、変なやつ。絶対、体温低い。深窓のお嬢様っていうの? 男だからお坊っちゃんか。とにかく弱そうで、あまり良い印象は無かった。
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